「今日手術するなら、モニター価格で165万円が110万円になります」
これは、僕の親友ポコさんが、美容外科のカウンセリングで実際に言われた言葉です。
そして、この「今日だけ」「あなただけ」という特別扱いは、決して彼が特別な存在だったからではありません。それは、自由診療の美容クリニックで頻繁に使われる、非常に巧妙な営業テクニックの一つだったのです。
今回は、ポコさんが男のプライドを賭けて「チンチンPro MAX」への進化を決意した、その裏側で繰り広げられた物語を追いながら、高額な自由診療と医療ローンに潜む、笑えないリスクについて、深く掘り下げていきたいと思います。
これは、笑いながらも、あなたの身を守るための知識が学べる「しくじり観察日記」です。
第一幕:「今日だけ特別」という、甘い罠
事の発端は、ポコさんが長年のコンプレックスだった包茎の治療を決意し、とある美容外科の門を叩いたことから始まります。
カウンセリングの結果、彼の状態は思ったよりも深刻で、手術が必要とのこと。そして提示された金額は、彼の想像を遥かに超えるものでした。
ポコさん:「ただ、額が110だよ?」
僕:「そこから33%(割引)だよね?」
ポコさん:「33%で110よ」
当初の予定を大幅に超える金額に、彼は激しく動揺します。
そこで繰り出されるのが、第一の営業テクニック**「期間限定オファー」**です。
「今日、この場で契約するなら、モニターとして通常価格165万円から33%割引の110万円にします」
国民生活センターにも多くの相談が寄せられるこの「今日だけ」という言葉は、相手の冷静な判断力を奪うための常套句。
実際、ポコさんはその日決断できず、手術の予約を翌週に入れましたが、提示された金額は変わらず110万円でした。
“今日だけ”は、明日も明後日も、そして来週も存在するのです。
第二幕:「モニター割引」という、名の魔法
なぜ、55万円もの大幅な割引が可能なのか。その魔法の言葉が「モニター割引」です。
ポコさん:「かなり『写真撮らせてくれ』的な感じで頼まれてな。」
ポコさん:「モニターで写真を撮って、今後の医学的資料に使うらしいよ。院長直々に頼みに来たわ」
「あなたの症例は非常に珍しい」「ぜひ医学の発展に貢献してほしい」
権威ある院長から直々にそう頼まれれば、誰だって悪い気はしません。むしろ「自分は特別扱いされている」と錯覚してしまうでしょう。
しかし、これもまた冷静な判断を鈍らせるための演出の一つ。
モニター契約の同意書には、写真の使用範囲や期間など、重要な項目が細かく記載されているはずです。それを十分に確認しないままサインをしてしまうと、後々、思わぬ形で自分の“相棒”が世に出回ってしまう可能性もゼロではないのです。
▲お得感の裏には、必ず確認すべき条件が隠れている。
第三幕:誰も教えてくれない「金利」の闇
そして、最も根深く、最も危険なのが**「医療ローン」**の問題です。
110万円という大金を、すぐに用意できる人はそう多くありません。そこでクリニック側が当然のように勧めてくるのが、提携しているローン会社です。
僕:「ちなみにローンの金利っていくらなの?何年払いで月々いくら払う予定?」
ポコさん:「まだそこまでは決めてないなー…50かぁ…」
僕が核心である金利について尋ねても、ポコさんは言葉を濁します。
彼が確認していなかったのか、あるいは、高額な金利から目を背けたかったのか…。
医療ローンは「審査が緩い代わりに金利が高い」ケースが多く、年利15〜18%という高金利も珍しくありません。
もし、ポコさんが110万円を年利15%の5年ローンで組んだ場合、月々の返済額は約25,000円。そして、最終的に支払う総額は約150万円にも膨れ上がります。
割引されたはずの55万円は、そのほとんどが高い金利によって、静かに飲み込まれていくのです。
【まとめ】あなたの“相棒”は、大丈夫ですか?
最終的に、ポコさんはローン審査の悲喜こもごもを乗り越え、「promaxに、俺はなる!」と、Pro MAX化への道を選びました。
彼のその決断を、僕は友人として応援したいと思います。
しかし、この物語は決して他人事ではありません。
美容整形、脱毛、AGA治療…。自由診療の世界には、常に高額な契約とローンの罠が潜んでいます。
もしあなたが、カウンセリングで「今日だけ」「モニター」「特別に」という言葉を耳にしたら、一度、この記事を思い出してください。
ポコさんは、自らの全てを晒して「チンチンPro MAX」への道を選びました。
しかし、読者のあなたが、気づかぬうちに「ローン地獄ProMAX」の道を歩む必要は、どこにもないのですから。
【ななかふぇの、あとがき】
今回の件で、僕がポコさんにかけた言葉で、一番的確だったと思うものがあります。
「チンチンは一生の相棒(棒だけに)」
一生を共にする相棒の決断だからこそ、他人に流されず、一度家に持ち帰って、冷静に考える時間が必要です。
あなたの“相棒”の価値を決めるのは、クリニックの院長ではなく、あなた自身なのですから。
もし、高額な契約で悩んだり、トラブルに巻き込まれたりした場合は、一人で抱え込まず、以下の窓口に相談することも、あなた自身を守るための重要な一歩です。
もし、僕だったら保険適用の手術を選ぶと思いますね。さすがにチンチンに110万は勿体なさすぎる…。
- 国民生活センター:消費者ホットライン「188(いやや!)」契約に関するトラブル全般について、専門の相談員が無料でアドバイスをくれます。「クーリング・オフできるか知りたい」「契約内容に納得がいかない」など、どんな些細なことでも、まずは電話してみてください。
- 法テラス(日本司法支援センター)法的なトラブルに発展しそうな場合は、こちらが心強い味方になります。弁護士による法律相談など、問題解決のための道筋を示してくれます。
【次回予告】
ポコさんの実際の手術の体験談のお話と、次の日、大阪へおじさん達の京都珍道中の物語をお送りいたします。お楽しみに!


