バズさん伝説

【僕たちの物語】バズさんとの出会いは、ニコニコ生放送だった。~スト4全盛期と、一度だけの別れ~

はじめに:熱狂の時代

今から、もう15年も前の話になります。 2010年。世は、まさに「ニコニコ生放送」の全盛期。誰もが、手軽に、自分の「好き」を世界に発信できるようになった、あの熱狂の時代を、あなたは覚えているでしょうか。

僕も、その熱に浮かされた一人でした。当時、僕が人生を捧げるほど夢中になっていたもの。それが、「ストリートファイター4」です。 仕事から帰っては、食事もそこそこに、アーケードスティックを握りしめ、毎日のように対戦の様子を配信していました。 まさか、そのモニターの向こう側に、僕の人生を、良くも、悪くも、かき乱すことになる、あの男がいたなんて、この時の僕は、知る由もなかったのです。

第一幕:画面越しの、好敵手(とも)

彼の最初の印象は、ただの一人の「リスナー」でした。 ハンドルネームは、「バズ」。 僕の配信に、よくコメントをくれる、たくさんの中の一人。ただ、それだけでした。 しかし、彼もまた配信者。お互いの放送を行き来し、コメントを交わすうちに、自然とオンラインで対戦するようになりました。

彼は、荒削りでしたが、キラリと光る何かを持っていました。僕たちは、毎日のように拳を交えましたが、勝つのは、ほとんど僕でしたけどね(笑)。 でも、不思議と、彼との対戦は楽しかった。画面の向こう側で、コントローラーを握りしめ、本気で悔しがっている彼の姿が、目に浮かぶようでした。 いつしか、僕たちは、ただの配信者とリスナーではない、かけがえのない「ゲーム仲間」になっていきました。

第二幕:リアルでの、友情

その関係が、もっとリアルな「友情」に変わったのが、名古屋・大須で開かれていた、ゲーム大会「名古屋ストリートバトル(NSB)」でした。 僕は、彼や他の配信仲間を誘い、一緒に大会に出るようになったのです。

初めて、リアルで会った、バズさん。 画面の向こう側で感じていた通りの、不器用で、でも、どこか憎めない、人の良さそうな、大きな男でした。 大会が終われば、みんなで大須の商店街を練り歩き、B級グルメを楽しみ、対戦の話で盛り上がる。買い物をしたり、リアルの話をしたり、みんな年齢はバラバラでしたが、再び青春が戻ってきたような感覚すら覚えました。 当時、一人暮らしだった僕の家に、バズさんたちが、雑魚寝しに泊まりに来ることもありました。

あの頃は、本当に、楽しかった。 ゲームという、共通の言語さえあれば、僕たちは、何時間でも笑い合えたのです。

最終幕:時代の終わりと、静かなる別れ

しかし、どんな熱いブームにも、いつかは終わりが来ます。 あれだけ熱狂した、「ストリートファイター4」の時代が、ゆっくりと終わりを告げ、続編の「5」へと移り変わっていきました。 ゲームが変われば、人も離れていく。共通の話題だったゲームで、みんなが集まることも、だんだん少なくなっていきました。

僕と彼の、圧倒的な実力差も、少しずつ、二人の間に溝を作っていったのかもしれません。 僕自身の、仕事や引っ越しも重なり、二人の距離は、自然と、少しずつ、離れていってしまったのです。 喧嘩したわけではない。嫌いになったわけでもない。 ただ、時間の流れが、僕たちを、違う場所へと運んでいった。ただ、それだけのことでした。

【まとめ】

これが、僕と、バズさんとの、出会いの物語。 オンラインでの出会いから、リアルでの熱い友情へ。そして、時間の流れと共に、一度は静かに遠ざかっていった、僕たちの青春の一ページです。

でも、僕たちの物語は、ここで終わりではありませんでした。 数年の時を経て、また別のきっかけが、僕たちを引き合わせることになります。 そして、そこからが、「欲望のピーターパン」としての、彼の、本当の伝説の始まりだったのです。 その話は、また、次の機会に、語ることにしましょう。

おしまい

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