【FX初心者体験談】ポコさん、一週間で10万円を溶かした話【ギャンブル編４】

FXとの出会い：「不労所得」という甘い響き

ある日、ポコさんは夢を見た。汗水流さず大金が空から降ってくる夢。その夢を叶える魔法の言葉こそ「FX」だった。

きっかけは、会社の同僚が「副収入はFXで作れる」と自慢げに話していたこと。その同僚は長年FXを続けていて、自動売買ツールを使って安定的に収益を得ているようだった。そんな話を聞いてしまったポコさんの胸は、一気に高鳴った。

「ワイもできるんちゃうか？ 不労所得って最高やん！」

その日から、ポコさんはFXにのめり込んでいった。ネットやYouTubeを見漁り、「初心者でも簡単に稼げる」「スマホ一台で月収100万円」なんて甘い宣伝文句をすっかり信じ込んでしまったのだ。書店で分厚い専門書を開くことはなく、手軽な動画解説で“勝ち組トレーダー”になれると本気で思い込んでいた。

デモトレードの日々：仮想空間での熱狂

最初に始めたのはデモトレード。本物のお金を使わない練習の場だが、ポコさんの気合は本物だった。

「今日は5万円勝ったで！」
「ぐぬぬ…今日は10万円負けたわ…」

勝ち負けに一喜一憂しながら、彼は毎日のように戦績をTwitterに投稿。フォロワーからの反応に気を良くし、しまいにはプロフィール欄に「現在、不労所得を目指して勉強中！」と高らかに宣言した。

さらに休日はチャートとにらめっこ。ローソク足や移動平均線など専門用語も覚え、「自分はトレーダーだ」とすっかりその気になっていた。机の上にはノートを広げ、値動きを手書きで記録する姿は、まるで研究者のようだった。

いざ、実戦へ！10万円を軍資金に

デモトレードを2週間続け、「オレ、いけるんちゃうか」と錯覚したポコさんは、ついに決断を下した。

「───ワイ、本当の金でやるわ」

キャッシングでなけなしの10万円を引き出し、リアルトレードの世界へ足を踏み入れた。口座を開設し、スマホのアプリを立ち上げる。そこには、無限にお金が増えていく未来しか見えていなかった。友人に「もうすぐ働かなくても生きていけるで」と豪語するほど、自信に満ちていた。

教科書通りの一週間：ビギナーズラックから転落へ

リアルトレード初日、驚くほど順調だった。買った瞬間にチャートがぐんぐん上がり、数千円の利益が一気に出たのだ。

「FX、余裕じゃん！」

ポコさんは歓喜した。しかし、これがビギナーズラックの始まりだった。初日で8万円増えた。2日目以降は資金が増えたり減ったり、まるでジェットコースター。勝っては喜び、負けては慌ててナンピンを繰り返す。冷静さはどこかに消えていた。

「ここで買い増しすれば取り戻せるはずや！」

その根拠なき自信が致命傷となり、大きな値動きに呑み込まれた。気がつけば残高は半分以下になり、最後の一撃で口座は空っぽに。

「えっ……口座残高、ゼロやん……」

それは、初心者が最初に経験すると言われる典型的なパターン。まるでFXの教科書に載っているかのような、見事な失敗談だった。

光の速さの引退宣言

全てを失ったポコさんの行動は、意外にも潔かった。

「───FX、引退します」

反省も振り返りもなく、光の速さで退場。SNSのプロフィールから「不労所得を目指して勉強中」の一文もひっそり削除された。わずか一週間で、彼の夢は10万円とともに儚く消え去ったのだ。

まとめ：FX初心者が学ぶべきこと

ポコさんの体験談は、まさに「初心者あるある」の失敗談だ。簡単に稼げると思って始めたFXは、甘い夢を見せては一瞬で資金を奪っていく。

ここから学べるのは明確だ。FXはリスク管理と冷静さが何より大切。そして「不労所得」という言葉に惑わされず、地道な努力や勉強を続ける姿勢が必要だということだ。

つづく