前回の物語で、友人のポコさんが、三日間で、6万円のお金を、キャバレー花園に、注ぎ込んだことを、お話ししました。
その時、多くの読者の方が、こう思ったかもしれません。
「あれ? ポコさんに借金があるの? 借金をしているのになんでキャバレー花園に通ったり、iPhoneを買ったり散財をしてるの?」と。
ええ、その通りです。彼は、過去に500万円という、途方もない額の借金を背負っていました。
しかも、2025年10月現在進行形で返済中なのです。
これは、彼がなぜそんな大きな借金を、背負うことになってしまったのか。その全ての元凶を、解き明かす物語です。
甘い罠と、魔法のカード
物語の始まりは、彼がまだ20代だった頃。
当時の彼は、今よりも、もっと、お金に無頓着で、楽観的でした。 彼の、手元には、クレジットカードや、キャッシングカードという、「未来のお金を、前借りできる、魔法のカード」が、何枚もありました。 欲しいものがあれば、彼は、何の、ためらいもなく、そのカードを切ったのです。
「毎月ちゃんと返済すれば大丈夫、大丈夫。何とかなるだろう」
その、根拠のない自信が、彼を、少しずつ、沼の底へと、引きずり込んでいくことに、彼は、まだ、気づいていませんでした。
雪だるま式の、地獄
最初は、ほんの、数万円の、借り入れでした。一度借金をしてしまうと、「意外と大丈夫だ」ということに気が付きます。
そして、徐々に借りる金額が大きくなって、すぐに限度額いっぱいになってしまいました。ポコさんはそこで、違う会社のクレジットカードを作成したようです。簡単に審査が通り、そして、新たに散財を繰り返していました。
最新のゲーム機や3万円のアケコンが欲しければすぐに借金をして一式購入する。バイクのローンが通らなければキャッシングをして購入する。欲しいものは我慢せずすぐになんでも買う。
少しづつ金銭感覚がズレていくことに、本人は全く気が付いていませんでした。本当に、なんでも買える魔法のカードを手に入れてしまった感覚になっていたのです。
一つの借金を返すために、別のカードでお金を借りる。その、場当たり的な自転車操業を繰り返すうちに、彼の借金は、雪だるま式に、膨れ上がっていきました。
気づいた時には、5社からの借り入れ。総額は、500万円。 もはや、彼の給料だけでは、利息を返すのがやっとの状態。 彼は完全に借金という名の、迷宮に、迷い込んでしまったのです。
最後の選択と、残されたもの
そして、彼は、ついに、白旗をあげました。 これ以上自転車層操業をしても破産するだけだと。ポコさんは恥を忍んで弁護士に相談し、「債務整理」という、最後の手段を、選んだのです。
それは、彼が人生で初めて、自分のどうしようもない現実に、向き合った瞬間でした。 しかし、それは彼が自ら成長するために、選んだ道ではありません。ただ、追い込まれて、それしか、選択肢がなかっただけなのです。
まとめと、僕のコメント
500万円という、大きな、大きな失敗。普通なら、二度とお金で失敗したくないと、思うはずです。
しかし、彼は違いました。債務整理をしてから最初の頃は5社のカード会社に毎月合計10万円を返済していましたが、1社完済するごとに、借金の返済額を減らしていきました。
理由は「あんまり無理をすると生活がきついから…」と、それっぽい言い訳をし、今は無理をせず、最低限の金額を返済していくスタイルに変更しているのです。
さらにボーナスが入れば半分は借金の返済に、半分は遊びに使ったり、今まで欲しくて我慢していた最新のiPhoneや、Apple Watchを残価クレジットローンで購入したりと、欲望を我慢しているようで、全然我慢できていません。
喉元を過ぎれば、その痛みも忘れてしまう。そして、また同じように、目の前の欲望のためにお金を使ってしまうのです。
なぜなら、彼は10年以上、「借金を抱えている自分」として生きてきた。
その、不自由な状態こそが、彼にとって、一番心地の良い、「コンフォートゾーン」になってしまっているのです。
だから彼は、借金を完済するために生きているのではなく、借金を返す状態を維持するために生きている。
こんな、理解しがたい状態を、ポコさん自身が望んでいるように見えてしまうのです。
僕自身も30代の頃に200万円ほど借金をしていた時期がありました。なので彼の、借金をしてしまったキッカケ、生活水準がなかなか下げられない、魔法のカードを手に入れた全能感は、とても理解できます。
僕は、途中で危機感を感じ、繰り上げ返済をしながら苦しいながらも自力で返済ができましたが、ポコさんは破滅するまで借金をしてしまった。
僕とポコさんの違いは、一体なんなのか…。このブログを書きながら、その答えも、探していこうと思います。
おしまい