あの、伝説の「ラーメンツーリング」での屈辱をバネに、友人ポコさんは、カスタムした「ジャイロアップ」を即、売却。その足で教習所に通い詰め、見事、中型バイクの免許を手に入れました。
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そして、彼が新しい相棒に選んだのは、こだわりのカスタムが施された、漆黒のビックスクーター「ホンダ・フュージョン」。
薄いスモークがかかった大きめの風防、将来のキャンプツーリングを見越した大型キャリアー、スマホホルダーやUSB電源。そして何より、彼のこだわりである漆黒のカラーリング! 彼が、長年、憧れ続けた、夢の翼でした。
▼思い出のポコさんの愛車と大歳神社のおみくじ


新しい青春の始まりと思いきや…?
僕と彼は、共にライダーになりました。 休みを合わせては、二人でツーリングに出かけました。 浜松の海沿いを走り、山奥のワインディングロードを駆け抜ける。
ご当地の食材を楽しみ、今まで見たことのない景色を、僕たちはバイクを通じて体験することができたのです。
僕の隣で、嬉しそうにフュージョンを走らせる、彼の姿。その楽しい時間は、これからもずっと続いていくものだと、僕も、そして彼自身も、信じて疑いませんでした。 しかし、その幸せな時間は、突如として、終わりを告げることになります。
【実際のバイクの写真】


途絶えた、ツーリングの誘い
しかし、ある日を境にポコさんは、僕からのツーリングの誘いに、来なくなってしまいました。
「ごめん、忙しいから」
「ちょっと、用事ができて…」
曖昧な理由を繰り返す彼の様子に、僕は何かを察しながらも、彼が自ら口を開くのを、静かに待っていました。
あれだけバイクを手に入れたことを喜んでいた彼が、ぱったりと乗らなくなる。それは、あまりにも不自然でした。
しかし、バイク以外の遊びに誘った時は、普通に一緒に遊びに来るのです。僕の疑惑は、さらに増していきました。
借金500万円という、重すぎる現実
そして、ある夜。僕が車を出してポコさんとドライブをしていた時、助手席の彼が、ついに、その重い口を開きました。
彼が借金を抱えていることは以前から聞いていましたが、具体的な金額は知りませんでした。恐る恐る、いくら借金をしているのか尋ねると、その金額は、僕の予想を遥かに上回っていたのです。
「500万円」
僕は、彼がとんでもない金額の借金を背負っていることに、驚愕しました。僕も過去に「総額200万円」の借金をしていたことがあるので、人のことは言えません。
しかし、さすがに500万円は重すぎると、一瞬で理解しました。借金という奈落の底を経験したからこそ、彼の辛い気持ちが、痛いほどわかります。
どうにもならなくなった彼は、弁護士に相談し、「債務整理」を行った、と。 そして、その過程で、彼の誇りであり、こだわりの塊であった、あの黒いフュージョンは、借金の返済のために、彼の元から静かに去っていったのです…。
ななかふぇの寄り添い
僕は、その告白を聞いても、一切責めませんでした。 ポコさんが自分の欲望と見栄のために免許を取得し、バイクを購入し、「さあ、これから第二の青春だ!」という時だったのに、借金のせいで歯車が狂ってしまった。自業自得と言ってしまえばそれまでかもしれません。
僕の誘いを断り続け、苦しい思いをしながらも、正直に借金のことを言うのは、恥ずかしいというプライド。その狭間で、彼は一人、戦っていたのでしょう。 その苦しい気持ちを理解した僕は、ただ、彼の気持ちに寄り添いました。
「借金してしまったのはしょうがないよ。ポコさんも知っている通り、僕も同じ過ちをしたことがあるじゃん。だからポコさんの気持ちはわかる。ちゃんと、借金と向き合ってコツコツ返済していこうよ。そして、無理をしない範囲で、また遊ぼうぜ。お金を使わなくても、僕が出せるところは出してあげるし、人間になったらその時に返してくれたらいいんだよ」と。
※「人間になったら」という意味 僕自身が昔、借金をしていた時、毎月返済をしながら、自分の事をこう考えていました。
「僕は奴隷として働いているから、人間以下として生きていかなければならない。働いても働いても給料はもらえず、最低限の生活しか許されないのは仕方がない。だって、借金という罪を犯した罪人だから、僕は人間以下なんだ」
自分自身をここまで卑下しないと借金という現実に向き合えなかったです。
必死に働いても、給料日が全く嬉しくない日々は、本当につらかった。 この例え話をポコさんに説明したら、彼は納得してくれていました…笑
▼ポコさんの借金エピソード
【まとめと、僕のコメント】
あのラーメンツーリングで、彼が手に入れたかったもの。それは、僕と対等に走れる速さでした。
しかし、そのために彼は借金を重ね、そして結果的に、一番大事な相棒のバイクそのものを、失ってしまった。
借金は幸せの前借り。そんなのはわかっている。それでも過ちを犯してしまうのは人間の弱さなのだと思います。
これは、彼の人生の、大きな、大きな、もう一つのターニングポイントになった、ちょっぴりほろ苦い物語です。
彼がフュージョンを手放したと聞いた時、僕は不思議と、怒りよりも安堵の気持ちの方が大きかったのを覚えています。借金をしているけど大丈夫なのかな?と、心配していたからです。
彼にとって、あのバイクは身の丈に合わない、重すぎる翼だったのかもしれません。いつか彼が本当に自分の足で立ち上がった時、また一緒に走れる日が来ることを、僕は信じています
ポコさんの愛車だったフュージョン。彼は借金返済できたら再び同じ種類のバイクを購入するそうです。そこから新しい物語が始まるのを楽しみにしてます。
▼アニメゆるキャン△の聖地巡礼


▼浜松の鰻と浜名湖


▼仲間との最初で最後のツーリング記念撮影



