ポコさんがFXという名の荒波にのまれ、10万円という尊い犠牲を出してから数か月後。
僕はたまたまみかけた動画をみてある閃きを思いついた。
(バイナリーオプション? ポコさんに勧めたらどうなるんだろう?)
僕自身はやったこともなく、知識はYouTubeで「10分で100万円溶かす男」の動画を見た程度。しかし、そんなことはお構いなしに、僕はポコさんに声をかけた。
「ポコさん、FXがダメでも『バイナリーオプション』って手があるよ。ハイかローか選ぶだけの、ゲームみたいなもんさ」
この無責任極まりない悪魔のささやきに、ポコさんはまんまと食いついた。
バイナリーオプションは、一定時間後に通貨や株価などが「上がるか下がるか」を予想する投資です。予想が当たれば利益を得られ、外れれば投資額を失います。仕組みはシンプルですが、短時間で結果が出るためリスクも高く、ギャンブル性が強い点に注意が必要です。
デモトレードの帝王、降臨
「こんな方法もあるんか!」と目を輝かせたポコさん。彼はお決まりのコース──「デモトレード」から挑戦をスタートさせた。
するとすぐに、彼のTwitterには謎の好成績が並び始めた。
「仕事の休憩中にデモトレード。1005kスタート→全額溶かす→同額おかわり(合計2010k)→2145k(+135k)でフィニッシュ。これ、全部溶けてる時点で負けなんだよなぁ。」
「おらぁ!1005kスタート、1341.81kフィニッシュ!+336.81kや!」
「今日は気分を変えてスマホアプリから。 100000スタートで148650フィニッシュ。 +48650! え?取引時間が仕事中だって? そこは目を瞑ってくれw← #バイナリーオプション #デモトレード #BO」
「久々にBOやった(デモトレード)。 1,005,000円スタートが最終的に1,171,200円でフィニッシュ。 166,200円のプラス。 これを毎日…いや、毎月でいいから確実に利益出せるようになれば…! しばらくは練習やね。 何となく相場の読み方も分かってきた(ような気がする)し。」


一度資金を全額溶かしているにも関わらず、「おかわり」をして最終的にプラスになれば勝ちとみなす──そんな謎理論を打ち立て、ポコさんはデモトレードの世界で無敵の帝王となった。
僕が「そろそろリアルマネーでやったら?」とけしかけると、彼はこう答えた。
「リアルマネーだとアカン!手元には自由に使えないお金(生活費)しかないんや!」
帝国の、あっけない崩壊
その殊勝なセリフから数日後。デモトレードで必勝法を確立したと確信したのか、ポコさんはついにリアルマネーでの戦いに挑んだ。
用意した軍資金は8万円。どこから工面したのかは謎だが、おそらくお得意のキャッシングであろう。
戦いの経過は、FXの時と全く同じだった。最初はビギナーズラックで資金が倍以上に膨れ上がり、すっかり調子に乗ったポコさん。しかし勢いに任せて突き進んだ結果──わずか10日ほどで、8万円の軍資金はきれいさっぱり消滅した。
再び、全てを失ったポコさんの行動は、意外にも潔かった。
「───バイナリーオプション、引退します」
95%の笑いと、高い授業料
友人を新たな沼に突き落とした僕。普通なら反省し、後悔するところだろう。しかし僕の心境は違った。
(ポコさん、やっぱりおもろすぎるわ!)
心の5%くらいはチクリと痛んだ。だが残りの95%は「最高のエンターテイナーだ」という賞賛の気持ちで満たされていた。
二度にわたる死闘の末、ポコさんは「もうデイトレードの類は一切やらん!」と固く宣言。FXとバイナリーオプションで失った合計18万円は、彼にとってあまりにも高い授業料となった。
まあ、勧めたのは僕だが、実行したのはポコさん本人。早めに才能のなさに気づけてよかったじゃないか。僕はそう思うことにしている。
まとめ:懲りない挑戦から学べること
ポコさんの物語は、失敗の連続で終わった。しかし、挑戦する気持ちそのものは決して無駄ではない。むしろ彼の姿から学べることは多い。
「楽して稼げる」甘い言葉に惑わされることなく、現実を見据えて行動すること。そして、もし失敗したとしても、その経験を笑い話に変えられる強さを持つこと。これこそが人生の大事な財産になる。
ポコさん、よく頑張ったね。何度失敗しても挑戦する姿勢は本当にすごいと思うよ。結果は残念だったけど、その経験はきっとこれからの人生に生きてくるはず。
読者のみなさんへ。挑戦にはリスクがつきものですが、失敗を恐れずに一歩踏み出すことが成長につながります。ただし、準備とリスク管理は忘れずに。笑い飛ばせるような失敗こそ、未来の自分を強くしてくれるものだと思います。
